正社員と非正社員との賃金に差があるのは違法とは言えない

2018年6月8日

「ハマキョウレックス裁判」と「長澤運輸裁判」というものが最近決着しました。

正規社員と非正規社員の賃金格差の裁判です。

ハマキョウレックス裁判は、
契約社員ドライバーには手当の支給が無く、正社員にのみ諸手当等が支給されるのは労契法に違反すると訴えた裁判。

最終判決では契約社員ドライバーに手当の支給がないのは「不当」と判決がくだった。
極めて妥当な判決。正社員に手当があって契約社員に手当がないのは不当な差別であり、その労働に明確な差がないのに手当が支給されないのは労働の不当な搾取。

次に
長澤運輸裁判。
これは定年退職したドライバーが定年後に再雇用されたが賃金を3割も引き下げられたことが不当だと訴えた裁判。

最終判決では賃金の引き下げは「妥当」で不当ではないと却下する判決がくだった。
これも極めて妥当な判決。

問題なのは、こんな当たり前のはずの判決が最高裁までいっているということ。
司法でも判断がわかれるものだから最高裁までいく。

こんな当たり前の裁定を司法が判断できないとはいかがなものか。

特に「長澤運輸裁判」での老人ドライバーの訴えは言いがかりもいいところだ。
こんなものが認められるようなら会社はやってられない。

それはなぜか?

上告人(原告,被控訴人)3名は,トラック運転手として,20年ないし34年にわたって,正社員(無期契約労働者)として勤務し,定年を迎えた。上告人らは,定年退職後,嘱託社員(有期契約労働者)となったが,嘱託社員とはいえ,正社員のころと全く業務の内容(セメントの輸送)は変わっていない。他方,正社員と比較して,賃金面で大きく労働条件が引き下げられてしまった。実際,定年前1年間と定年後1年間で比較すると,約3割の引下げになっている。 組合が団体交渉を通じて是正を求めてきたが,会社がこれに応じなかったため,提訴に及んだ。

とあります。

なぜこの提訴は的外れなのか?
これは会社側・雇う側の視点でみれば簡単です。

ほぼ同じ条件での同一労働なら同一賃金であることが正しい。
しかし、
同一労働だとしても人材としての価値には違いがあります。

定年退職したドライバーを再雇用したのはどちらかというと会社側の温情の要素も強い。
20代から50代のドライバーがいるとします。
そして60歳以上のドライバーがいます。

どちらが人材として価値があるか?といえば、ドライバー歴1年以上の40代までの人材でしょう。

理由は主に2つ、
身体的優位性
突然労働力が消えるリスク
この2つ。

ドライバー歴0ヶ月の人材はこれから育てる必要があるので労働者ドライバーとしての価値は低い。
60歳以上は身体的に若い年齢のドライバーよりも突然大病になるリスクや死亡するリスクが高い。

だから新人は給料が安いのは当然だし、老人ドライバーは雇う側としてはリスクが高いので給料を安くするのは当然。

本人が意識していなくても平均的に体力や反射能力・認知機能の衰えによる事故のリスクが高まる。

万が一事故というリスクが発生した場合、会社としては多額の損害を被る可能性があるのです。

そのリスクをあえて受け入れて長年自社で働いてくれたドライバーを再雇用している。

定年時の給料より安いのは、元々勤続年数が長いドライバーに対して特別手当のような意味合いで通常の給料よりも高い賃金を払っていた可能性が高い。

だからその当時の給料よりも2割・3割低いのが実際の標準的な給与に近いと思われる。
(さらに事故を起こすリスク・突然病気や死亡で労働できなくなるリスクが高いのでその分賃金を下げるのも市場経済としては妥当な判断)

これが、もし職人的立場の労働者なら定年後の再雇用で賃金が下がるのは不当だといえるでしょう。

例えば、時計職人などの選ばれた人間しかできないような超技巧技術の労働。
その技術を習得するまでには10年・20年かかり、さらにその中でもわずかな人材しか習得できない能力であるのなら会社側もそれなりの大金を出して雇い続けます。

しかし、この訴えを起こした人たちの業務はドライバーです。
運転免許証と健康な体と2ヶ月以上ほどの経験があれば誰でもできてしまう職業です。

だから人的価値が低いので再雇用で給料が下がるのは当然というわけです。

会社側の立場を心の声で例えるなら
「再雇用で同じ賃金で雇うくらいならその人件費を使って20代の若いドライバーをより多く雇うわ。なんで高い人件費リスク・事故のリスクを背負って10年後以降も労働力として使えるかどうかわからない人材を高い給料でわざわざ雇わなきゃいけないんですか。」
といった感じでしょう。

<他の例として>
よく女性が安い給料だったり出世できなかったりするのは、「女性を差別しているから・下に見ているからだ!」
とヒステリックに主張する人たちがいますが、

女性の給料が安くて出世しづらいのは当たり前です。

なぜかは簡単。市場経済は常に冷静で平等だからです。

20代から40代の女性は突然辞めてしまう、または辞めないにしても半年から1年ほどフル稼働での勤務はできなくなってしまうリスクを常にもっています
それが妊娠・出産です。

男だから女だからというのは関係無く純粋に人材として
「常時安定して働き続けられる人材」と、「突然半年から1年働けなくなる人材」同じ賃金で雇うならどちらを選ぶか。

当然「常時安定して働き続けられる人材」です。

よって女性の給料が安い・出世しにくいのは当然の結果です。男性と比べると働き手としてそもそも不利な条件をもっているからです。

男性が優位にはたてない女性だから優位である職業であれば、給料も高いし出世も普通にできるでしょう。
ですが、ほとんどの職業は女性が一方的に優位になれる職業ではありません。

だから
女性の給料が安くて出世しづらいのは当たり前というわけです。

それでも出世する女性というのは一般的な男性労働者よりもさらに輪をかけて優秀である必要があるので出世できる女性は確率的にも少なくなってしまうというわけです。

以上のことから、同一労働同一賃金は正しいが、まず人材自体の価値を査定する必要がある。そこから市場において同価値人材であって初めて同一労働同一賃金の妥当性は問えるということになります。

こんな当たり前の判断を最高裁まで行かないと決められない日本は大丈夫なのでしょうか?
地裁・高裁はちゃんと機能しているのでしょうか?

参照記事:
https://www.bengo4.com/c_5/n_7757/

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180601/k10011461851000.html

<追記>
「定年退職した老人に希望は無いのか」といった同情の声もあるかもしれませんが、この長澤運輸裁判で裁判を起こしたドライバー3人は定年退職で多額の退職金ももらっているし、今まで長く勤務してきたので年金もちゃんと支給されます。これに再雇用で3割減の給与で約28万円です。
そんなに家計が切迫した状況にはみえません。

長澤運輸には25万円くらいで新しい20代のドライバーを雇ってほしいものです。

雑記

Posted by evan